フェラーリ

ある男が銀行を訪れて言った。
「100ドルほど貸して欲しいんだが。」

少額の融資申し込みだったが、銀行の担当者は慇懃に問い返した。
「何か担保になるものはお持ちでしょうか?」

「そうだな。ちょうど今駐車場に俺のフェラーリが停めてあるから、それでどうだい?」

「フェラーリで100ドルのご融資でございますか?」

担当者は訝しがりつつ、男の案内でフェラーリを見に行った。
駐車場には最新型フェラーリの新車が停めてあり、登録証を見ると確かに男の車だった。
担当者は驚いて言った。
「失礼ですがお客様、このお車でしたら、30万ドルほどご融資できますが。」

「いや、100ドルでいいんだよ。」

担当者は困惑したが、断る理由もないので、手続きを済ませて100ドルを男に融資した。

銀行側は大事な担保に何かあってはいけないと、重役専用の駐車場にフェラーリを移し、細心の注意で管理した。

6週間後、男が再び銀行を訪れ、元金の100ドルと利息の6ドルを支払って言った。
「いやあ、ニューカレドニアは最高だったよ。」

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