長い旅

2匹の精子が、いつ終るかも分からない旅をしていた。
彼らは泳いで、泳いで、泳ぎまくったが目的地を見つけられないでいた。
疲れ果てた2匹のうちの1匹が、もう片方に話し掛けた。
「駄目だ、もうすっかり疲れちまった。ずいぶん泳いだ気がするが、俺らは一体、どこに向かってるんだ?」

もう片方が答えた。
「なーに、このまま泳いでりゃ、いつか到着するさ。」

さらに泳ぎ続けた2匹は、最終的に瀕死の状態の仲間に出会った。
彼らは泳ぐのをやめて、彼に向かって尋ねた。
「や、やっと仲間に会えた。」

「なー、知っていたら教えてくれ。」

「俺らは、輸卵管を目指して旅をしてるんだが・・・」

「ほんとに、この道をまっすぐ行って間違いないんだよな?」

すると、瀕死の彼は大きな声で笑い出した。
不審に思った2匹は、困惑しながら彼に尋ねた。
「なあ、なんであんた、そんなに笑ってるんだい?」

「そりゃ、あんた達失敗したな。ゴールはとんでもなく遠いぞ。」

「どうして?」

瀕死の彼は、2匹の肩を叩きながら返答した。

「だって、ここ、食道だもん。」

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